奥ニッポンの暮らしを発信。「西米良村の風景」奥ニッポンの暮らしを発信。

一昨年の秋、15周年を記念し、本社を奥九州の桃源郷、西米良村に移した。奥ニッポンの真ん中から日本の美しさを書きたいという意欲を具現化して、幸せである。幾つもの清流が源を発す、九州の背骨、九州中央山地の南東部に位置する美しい村は、人口1,200人ほどで、互いに助け合って暮らす、日本の原風景が強く残る、奥ニッポン。

黒木村長と地域婦人会の皆さん

昨今、カリスマ村長の黒木定蔵氏(※右写真中央)をはじめ村や県など関係の方々のご努力で、村に至る道が通りやすくなり、九州の西を走る九州自動車道の人吉ICと、東を走る東九州自動車道(4月24日に北九州から鹿児島まで開通する)西都ICから1時間ほどになった。豊かな自然と共生する村人の幸せそうな生き方に奥ニッポンの風情を感じることができるユートピアである。ぜひ一度、足をお運びほしい。

今月号の「みちくさ」では、四国東の中央部から太平洋に流れ込む四万十(しまんと)川や新荘川の奥に位置する「奥四万十」の5市町で行われる、自然と暮らしの祭典「奥四万十博」を紹介する。祭典というとイベントを連想するが、イベントというよりも、地域を博覧会会場と見立て、それぞれの集落をパビリオンとみなし、発信方法である。とくに通年にわたって楽しめる旅のプログラムをたっぷりと紹介することで、その地の四季折々の魅力を発信することができる。

こうした暮らしめぐりは、実は私ども株式会社アイロードが力を入れ、奥九州で発信してきたものと同じである。たとえば今回、表紙から始まる特集を組ませていただいている大隅地域で実施された「わっぜよかど博覧会」や、前号でご紹介した西都児湯の「こゆ人めぐり」、平成20年に取り組ませていただいた日向市と門川町、美郷町、諸塚村、椎葉村でコーディネートさせていただいた「ひゅうが奥日向 たびハク(旅の博覧会)」などの旅のプログラムづくりも同じ形態である。

ぜひ奥四国と奥九州の暮らしの似ているところ、異なるところ、あるいは、暮らしの底辺に流れている個性や歴史、地域性などを感じ、互いの魅力を感じ、交流してほしい。また、訪れた皆様も自分の暮らしを再評価するきっかけにしていただけたらと思い、筆を執ったり写真を選んだり、デザインを起こさせていただいた。

また、表紙から始まる今号のメイン特集「桜島、そして大隅に」では、桜島がある鹿児島市の暮らし風景も感じてほしい。まずは桜島フェリーで、市内から桜島にわたり、湧水豊かな、農林漁業の町、垂水市に向かい、鹿屋を訪れる。鹿児島市をハブとした広域モニターツアーの様子をお伝えする。オリジナル特集としては、全市民をあげてバラの花で町おこしをしてきた鹿屋市の取り組みを紹介し、地域の魅力は人であることを発信したい。まさに奥ニッポンの暮らしの姿をそのままに今に残している、志布志や曽於市を含む大隅国の豊かさもまた、語ることができればと、願っている。

「福永栄子」署名
  • 愛で人と人、地域と地域を結ぶ(株)アイロード代表
  • 地域交流誌「みちくさ」編集長